焙煎とは?ホームロースト(自宅焙煎)の手順とコツを解説します。

焙煎ってなんだろう。コーヒーについて調べてたらこの言葉をよく見かけたんだけど、イマイチ意味がわからないな。自宅でもできるの?

こんな疑問に答えます。

焙煎とは簡単に言うと、コーヒーの生豆の青臭さを取り除き、香ばしい味と香りをもたせること

おいしいコーヒーをつくるために欠かせない作業工程ですが、その実態は以外にもよく知られていません。

そこで今回は、

  • 焙煎とはどんな作業で何のために行うのか?
  • 自宅で手軽に焙煎する方法

これらについて説明していきます。

焙煎について知れば知るほどコーヒーが好きになり、豆を選ぶのも楽しくなりますよ!

自分好みの焙煎度合いを見つけたい

「自分好みの焙煎度合いを知る方法」は後述しますが、結論から言うとコク・苦味・酸味のバランスがとれたシティローストあるいはフルシティローストを飲んでみるとよくわかります。

詳しくは後ほど説明しますね。

焙煎とは

焙煎とは

まずは、焙煎とはどんな作業で何のために行うのか?について見ていきましょう。

焙煎(ロースト)とは、コーヒーの生豆を煎ることで香ばしい香りや味わいを引き出す作業工程です。

焙煎前のコーヒー豆は青臭く、味もほとんどありません。この生豆を焙煎することで、はじめてコーヒーらしい味や香り、コクが生まれます。

焙煎とは、コーヒーらしさを引き出す作業

焙煎前の生豆は薄黄緑で、とてもおいしそうには見えません。

焙煎前

この生豆に熱を加えていくことで、しだいに水分が抜けていき、豆の色や形が変わっていきます。

    【焙煎前:薄黄緑で青臭い。味もほとんどない】

    これに熱を加えていくと、

  1. 水分が蒸発し、白っぽくなる
  2. 豆がしぼんで表面がシワシワになる
  3. 豆がふくらんでパチパチと破裂音(1ハゼ)が起こる
  4. さらに豆がふくらみピチピチと2回目の破裂音(2ハゼ)が起こる
  5. 油脂が表面ににじみ出てツヤツヤになる
  6. 【焙煎後:チョコレート色で香ばしい香り。苦味がある】

ちなみに「ハゼ」とは、焙煎時に聞こえる破裂音のこと。加熱により豆の内部の圧力が高まると、ポップコーンがはじけるようなパチパチとした音が聞こえてきます。

焙煎後

このようにして、おいしいコーヒー豆ができあがります。

8段階の焙煎度合い

焙煎度合いは8段階にわけることができて、これによりコーヒーの味が決まります。

  1. ライトロースト
  2. シナモンロースト
  3. ミディアムロースト
  4. ハイロースト
  5. シティロースト
  6. フルシティロースト
  7. フレンチロースト
  8. イタリアンロースト

ライトローストに近づくほど、浅煎りで酸味が強く、あっさりとした味わい。

イタリアンローストに近づくほど、深煎りで苦味が強く、コクのある味わい。

ミディアムローストからフルシティローストは中煎りと呼ばれ、コク・苦味・酸味のバランスがほどよいコーヒーになります。

好みの焙煎度合いを見つける方法

自分好みの焙煎度合いを見つけるには、まずはじめに中深煎り(フルシティロースト)のコーヒーを飲んでみるといいです。

理由はコク・苦味・酸味のバランスがとれており、良い基準になるから。

中深煎り(フルシティロースト)コーヒーを飲んでみて、もっと酸味がほしいと感じたら浅煎りを、もっと苦味がほしいと感じたら深煎りを選んでみましょう。

焙煎の手順

参考までに、プロが行う焙煎の仕方を紹介します(温度や時間は、それぞれの焙煎士あるいは豆の状態により異なるので、あくまで参考程度に)。

  1. 生豆の計量
  2. 生豆の投入
  3. 水分を蒸発させる
  4. さらに過熱
  5. 豆がハゼる(1ハゼ)
  6. 火力の調節
  7. 豆がハゼる(2ハゼ)
  8. 釜出し・保管

➀生豆の計量

量りを使って生豆の量を正確に計量します。豆の量によって加熱時間などが異なってくるので、ここはなるべく正確に。

また、この際に虫食い豆やカビの生えた豆などの欠点豆を手作業で取り除きます(ハンドピック)。このような欠点豆はコーヒーの味や香りに悪影響を与えるので、気になるものはどんどん取り除いてOKです。

➁生豆の投入 180℃

ハンドピック、計量が済んだら、あらかじめ十分に温めておいた焙煎機に豆を投入します。

➂水分を蒸発させる 145℃

焙煎機の中で豆を加熱していくと、豆の薄皮がはがれ落ちます(焙煎によりはがれ落ちた薄皮を「チャフ」という)。

➃さらに過熱 180℃

豆が黄色っぽくなり、表面にシワが出てきたところで焙煎機の温度を上げます。

➄豆がハゼる(1ハゼ) 210℃

温度が上昇し、豆内部の圧力が高まると、やがてパチパチという「1ハゼ」の音が聞こえてきます。

➅火力の調節 210℃

1ハゼが起こるとともに焙煎機内部の温度が上昇しやすくなるので、熱くなりすぎないように火力を調節します。

➆豆がハゼる(2ハゼ) 220℃

少し時間がたつと、2ハゼが始まります。ここからは秒単位でコクや香りが変化していくので、絶妙な火力の調節が必要。焙煎士の腕の見せ所です。

➇釜出し・保管

目標の焙煎度合いに達したところで煎り止め。豆を大きめの釜に出し、熱を冷ましてから保管します。

完成!

ホームロースト(自宅焙煎)の手順とコツ

ホームロースト(自宅焙煎)の手順とコツ

さて、焙煎について説明してきましたが、「なんだか難しそう…」と感じた人もいるかもしれませんね。

でも、そんなことないので大丈夫。実は焙煎って自宅でも手軽にできちゃいます。

自宅で焙煎してみよう

自宅焙煎(ホームロースト)のやり方を紹介します。意外と簡単にできるので、気軽にやってみてくださいね。

【準備するもの】

  • コーヒーの生豆
  • 手網
  • ガスコンロ
  • タイマー
  • ドライヤー
  • 軍手
  • ざる
  • 計量器

コーヒーの生豆はお好きなものでOKです。初めての方は厳選セレクトお試しセットのように、いろんな種類の豆が少量ずつ飲み比べできるものがよいかと思います。

焙煎用の手網は、フタ付きで小さすぎないものがおすすめ。目安として、13cm以上であれば一人分の豆をムラなく焙煎できます

自宅焙煎(ホームロースト)の手順は次の通り。

  1. 手網に生豆を入れる。
  2. コンロを中火にし、30cmほど離した距離で豆全体を加熱。
  3. 豆の水分が抜け薄茶色に。チャフがはがれ始める。
  4. コンロから10cmほどの距離で網を水平に振りながら加熱。豆の色をそろえる。
  5. 1ハゼが始まる。煙・チャフが出てくるが気にせず網を振り続ける。
  6. コンロから15cmほどの距離で熱加減を調節しながら加熱。
  7. 2ハゼが始まる。好みの焙煎度合いになったら煎り止め。
  8. 豆をざるに移し、ドライヤーの冷風で熱を冷ます。

これで完成です!

家庭用の焙煎機でより本格的に

最近は、小型の家庭用焙煎機も充実しています。自分で本格的に焙煎したコーヒーを飲んでみたいという方には家庭用の焙煎機がおすすめ。

手軽な値段でおいしく焙煎できます。

焙煎とは【まとめ】

この記事の内容を簡単にまとめます。

  • 焙煎とはコーヒーの味と香りを引き出す大事な作業
  • 焙煎について知っているとコーヒーを選ぶのが楽しくなる
  • 必要な道具があれば自宅でも気軽に楽しめる

焙煎は奥が深く知れば知るほどコーヒーが好きになります。

自分好みの焙煎度合いで、オリジナルコーヒーを淹れてみるのも面白いですね。

まずはフルシティローストのコーヒーを飲んでみて、自分自身を知るところから始めてみてください。

これからのコーヒーライフがより楽しく、味わい深いものなりますよ!